「隠された記憶」
TVキャスターのジョルジュは、編集者の妻アンとひとり息子ピエロとともに、友人にも囲まれ、幸せに暮らしていた。ある日、送り主のわからないビデオテープが意味不明な絵と一緒に届いた。スーパーの袋に無造作に入れられたビデオテープは、そのあと何度も自宅の玄関に置かれるようになる。
テープに映し出されるのは、彼の家と家族の日常の様子。誰かがどこかに隠れて一家を撮影しているのだ。ジョルジュが人気のキャスターというのもあり、たちの悪いイタズラと流していたが、だんだんと単なる映像が徐々にプライベートな領域へとエスカレートしていく。そして同様のビデオテープが、ジョルジュの仕事先にまで送りつけられてしまう。一体、何のために誰が送ってくるのか。
警察へ相談に行ったものの事件として相手にされず、不気味さと脅威に震える日々。漠然とした不安が恐怖に変わり、そして家族の関係も揺らぎ始める。お互いへの不信感から穏やかな生活が次第に崩れてゆく。送られ続けるビデオテープ、知らない男からジョルジュへの電話、―そして息子がいなくなってしまった。
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ジョルジュはある夢を見て、汗びっしょりで目覚める。やがて遠い日の記憶に思い当たるのだった。生まれ育った実家の風景、無邪気な少年時代。ジョルジュは寝たきりの母親が独りで暮らす実家へ向かう。そして心の奥底に眠っていた幼い頃の記憶が呼び起こされる。
斬新な展開に緊張が走り、巧妙かつ複雑なトリックに何度も息を呑んだ。胸にしまわれた幼い記憶のように、現代社会に潜む個人的、政治的な闇が少しずつ暴かれる。最後の一瞬まで気を抜く隙は与えられない。
真実は何か。わたしも含め、この映画を観た多くの人が罠にハメられたのではないだろうか。予想外の結末に驚き、同時にわたし自身の潜在的な“記憶”に動揺せずにいられなかった。激しく打ち抜かれるような衝撃を、あなたは隠すことはできるでしょうか。
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■ Cast
ジョルジュ:ダニエル・オートゥイユ
アン:ジュリエット・ビノシュ
ジュルジュの母:アニー・ジラルド
■ Staff 監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
■ Credit 2005年/フランス・オーストリア・ドイツ・イタリア/1時間59分/カラー/原題 CACHE 配給:ムービーアイ+タキ・コーポレーション共同配給
■ Official site http://www.kioku-jp.com
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